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2018年9月 3日 (月)

クラシックギターの歴史について(3)

 6単弦のギターが出来たのが大体18世紀終わり頃と考えられますが、19世紀に入るとヨーロッパ各地でギターのブームが起こります。パリやウィーン、ロンドンなどヨーロッパの主要な都市で多くのギタリスト兼作曲家が活躍し、家庭音楽向けのギター曲やギターを含む室内楽曲が多数出版されました。この時代の代表的ギタリスト・作曲家としてはフェルディナンド・カルッリ(1770-1841)、ヴェンツェスラウス・トマス・マティーカ(1773-1830)、アントワーヌ・ド・ロイエ(1768-1852)、フランチェスコ・モリーノ(1775-1847)、アントン・ディアベッリ(1781-1858)、ディニシオ・アグアド(1784-1849)、フランソワ・ド・フォッサ (1775-1849)、ルイジ・レニャーニ(1790-1877)、マテオ・カルカッシ(1792-1853)など多数の名を挙げることができます。その他、ヴァイオリンの大ヴィルトゥオーゾとして有名なニコロ・パガニーニ(1782-1840)もギターを演奏しヴァイオリンとギターのための二重奏曲他のギターを含む室内楽を多数作曲していますし、「魔弾の射手」などの歌劇で知られるカール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)なども少数ながらギターを含む室内楽曲を作曲しています。この中でも特にこの時代を代表するギタリスト・作曲家としてマウロ・ジュリアーニ(1781-1829)とフェルナンド・ソル(1778-1839)の名を挙げたいと思います。

ジュリアーニはイタリア人ですが19世紀初頭にウィーンに移り主にウィーンで活躍したギタリスト・作曲家です。ギターのヴィルトゥオーゾとして演奏活動をした他、多数のギター曲を作曲・出版しています。ギター独奏曲としては易しい練習曲や小品、ソナタやロンドのような曲、それと何よりも当時の有名な旋律を主題にした多数の変奏曲、ポプリという当時流行した歌などのメドレー集のような曲など様々なタイプの曲を残しています。ポプリの形式の曲で有名なのはロッシーニのオペラのアリア等を用いた「ロッシニアーナ」という曲で現在でもジュリアーニの代表作として多くのギタリストに演奏されています。ギター独奏曲以外ではギター二重奏曲などの他、フルートやヴァイオリン、ピアノなどとの二重奏曲、弦楽四重奏とギターなどのような様々な編成のギター入り室内楽曲、ギターと管弦楽のための協奏曲まで多様な編成の曲を残しており、この時代を代表するヴィルトゥオーゾと呼ばれるに相応しい存在といえると思います。

スペインのバルセロナ出身のソルはモンセラート修道院で音楽教育を受け、オペラやバレエ音楽なども作曲しており単なるギタリスト作曲家の枠を超えた作曲家といってよい人だと思われます。ギター曲に関しては作品番号の付けられた曲はギターの独奏曲かギター二重奏曲に限られており、その他ギター伴奏の「セギディーリャ」という歌曲などを残していますが当時の他のギタリスト作曲家のようなギターを含む室内楽曲は殆ど残っていません。現代ではソルのギター曲はギターの古典期を代表する作品群として高く評価されており、現代でも多くの作品がギタリストによって演奏されています。

 19世紀初頭に人気を集めたギターですが、ピアノが家庭に普及したことやコンサートホールでの演奏会が盛んになっていったことなどの時代の変化により恐らくは1830年頃から急速に衰退していくことになります。その衰退期のヨーロッパ各地でのギター音楽の状況は次の記事で触れたいと思います。

※9/17 ジュリアーニとソルについての箇所を追記しました。

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