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2018年9月17日 (月)

クラシックギターの歴史について(4)

 さて、19世紀初頭にはヨーロッパ各地で人気のあったギターですが、音楽史でいうところのロマン派の時代になると急速にブームも去り、衰退期に入ります。しかし、そのような時期にも数は少ないながらヨーロッパ各地にギター愛好家は存在し優れたギタリスト・作曲家も存在しました。その内の何人かの名前を上げてみます。

 ナポレオン・コスト(1805-1883)は、フランス人のギタリスト・作曲家ですが、パリでフェルナンド・ソルと知り合い大きな影響を受けています。ギター独奏曲を中心にギター二重奏曲、オーボエとギターの二重奏曲などの作品を残しています。主に低音側に弦を一本追加した7弦ギターを弾いており、作品の多くが7弦ギター用の曲として作曲されています。

ヨハン(ヨゼフ)・カスパル・メルツ(1806-1856)はブラティスラヴァで生まれ主にウィーンで活動したギタリスト・作曲家です。彼も多数のギター曲を作曲・出版しましたが、オリジナル作品の他、当時の音楽会で流行した有名なオペラからの名旋律を編曲したオペラ幻想曲も多数作曲しています。メルツは主に10弦のギターを使っていましたが、生前出版された曲の多くは通常の6弦のギター用の曲になっています。

 彼らより少し下の世代になりますが、ジュリオ・レゴンディ(1822-1872)はギターの天才少年として幼少期から演奏活動を行い、フェルナンド・ソルから曲を献呈されている程です。後年はギターだけでなくコンセルティーナというアコーディオンのような楽器の演奏を行うようになったということもあってか、残されたギター曲は少なく、op.19〜23までの5曲、1980年代終わり頃にロシアで手稿譜の形で発見された10曲の練習曲、21世紀に入ってから筆写譜の形で発見された3曲、で全てのようですが、どれも技術的には難しいですが優れた曲です。彼は8弦のギターを使用していましたが出版されたギター曲は通常の6弦ギターのための曲になっています。

 このように、ロマン派時代のギタリストの傾向として低音側に弦を追加した多弦ギターを使うというものがあり、開放弦で使える低音の数を増やすことでロマン派の音楽に対応しようとしたことが伺われますが、ピアノやオーケストラなど、より音量の大きな音楽が好まれる流れの中で時代に取り残される形になってしまったことは否めず、それが衰退の大きな原因と考えられます。

 一方、スペインではこの時代にも多数のギタリスト・作曲家が活動しており、例えばフリアン・アルカス(1832-1882)のようにヨーロッパ的な作品だけでなくスペインの民族音楽のスタイルを取り入れた作品を多数作った人などもいました。そしてそのような流れが後の近代スペインのギター音楽に繋がっていくのですがそれは記事を改めます。

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