易しい小品
小平の方にかねてからお世話になっている音楽教室があります。昨日はその教室でレッスンがありました。少し早めに教室に着いたら、丁度ピアノのレッスンの最中でした。生徒さんが弾いていた曲(時間がなく曲名、作曲者など確認できなかったのですが近代〜現代の作曲家の曲のようでした)がシンプルでありながら曲想の変化もあり興味深く聴かせてもらいました。
ピアノにはシンプルで技術的には易しくても内容のある小品がそれこそ山のようにあるそうですが、ふと思ったのはギターにはそのような曲が意外に少ないという事です。ソル、ジュリアーニ等の古典派の練習曲には余り技術的に難しくないものもあり、基本的な事を学ぶのに良いものですが、それ以降の時代、例えば近代〜現代の曲で技術的に難し過ぎず内容的にも魅力のある曲を探すと意外にめぼしいものが見当たらない感じがします。ロマン派とか近代辺りの小品で愛好者に人気の高い曲というのはいろいろありますが、その手の曲は大抵一部にとても難しい箇所があったりして、その難所の為に弾くのを断念してしまうという人も少なくないようです。
最近ある生徒さんがポーランドの作曲家アレクサンドル・タンスマン(1897-1986)の「易しい小品集」「非常に易しい小品集」という曲集の楽譜を自分で探して来てその中の曲を幾つかレッスンしているのですが、この曲集などは「近代〜現代の曲で技術的に難し過ぎず内容的にも魅力のある曲」に該当するものかも知れません。これらの曲集は、それぞれ短い24曲の小品から成っていて、どちらも上下巻二冊に分けて出版されています。「カヴァティーナ」のようなタンスマンのコンサート用の曲と比べると音数も少なく、至ってシンプルな譜面で、技術的にも難しいものではありませんが、適度にモダンな雰囲気があって、古典的なものや民俗音楽風のものなど多様なスタイルの曲があり飽きさせない配慮がなされています(現にこの曲を持ってきた生徒さんは「いろんなタイプの曲があって弾いていて飽きない」と仰有っていました)。また、技術的に難しくない曲を作らなくてはならないという制約の中でしっかり書かれていて流石に作曲家の仕事という感じがします。タンスマンはピアノの為にこのような易しい子供向けの小品集を数多く作曲しているのですが、このギターの小品集も子供のギター練習生の為の曲集といった意味合いがあるようです。但し、タンスマンがピアニストであるせいかギタリスティックな演奏効果が得られるというものではなく、その点に難しさがあるとは言えるかも知れません。
最近は現代の作曲家による学習者の為の技術的にあまり難しくない曲というのも結構出版されたりしているようですが、教材として広く使われているというものは寡聞にして知りません。今回触れたタンスマンの曲以外で良いものがあれば情報を知りたいなあと思ったりしています。
« ガット弦 | トップページ | リョベートの楽譜 »
「音楽」カテゴリの記事
- 3つのギターdeコンサート+ウクレレ(2011.08.21)
- アウラ音楽院八王子校セプテンバー・コンサート(2011.08.19)
- クラシックギターコンサートを楽しむ会(2011.07.31)
- アウラ八王子校スプリングコンサート無事終了しました(2011.05.15)
- 二重奏(2011.03.08)
「日記」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
« ガット弦 | トップページ | リョベートの楽譜 »
コメント